現実に存在しない登場人物がいる
イタリアが舞台の洋服屋の男とジプシーの女の話は、主人公の小説の中の人物です。
同じく、ニューヨークが舞台の元女優の話も架空の人物です。
これらの登場人物が、あたかも現実世界にいるかのように描かれているので、
設定がわかるまでは「これは何を見せられているのだろう?」と感じます。
小説家の懺悔
主人公の男は小説家で、幼い息子を亡くしています。
その原因は、プールで男が目を離したうちに、息子がおぼれたというものです。
そのことを男はずっと後悔しており、妻に謝罪の気持ちを伝えたく小説を書きました。
現実に起こっているのはこれだけで、後は小説の中の架空の出来事です。
不倫している女
主人公の男と不倫関係にある女性は、現実にいる人物なのか、小説上の人物かは謎です。
私は小説上の人物だと思っています。
というのも、この女性は父親から性的虐待を受けているのですが、
そのことを小説上で暴露されてしまいます。
そのことに激怒した女は、男の元を去ります。
男は追いかけますが、ジプシーの女とNYの女と入れ替わり、
人込みに消えてしまいます。
この描写は不倫している女も、架空の人物の一人だ、ということを指しているのではないでしょうか